「数学わかんないんだよなあ」




ぽつり、呟く。

最近の数学はわからなさ過ぎて困る。

それに問題が解けない分後回しにしていってたから、課題の量も増える一方で。

溜まりに溜まった課題の提出日は確か三日後だった気がする。




「私も秀才ならなあ」




それなりに教養があって学習能力のある人間に生まれたかったわ。

そんな願望、高校生になった今じゃ希求するだけ無駄だろうけども。

溜息を吐き出してから、窓の外に視線を何気なく向けた。


どこの部活も、頑張ってるよなあ。私じゃ無理だわ。

体力無いし、マネージャーでさえも務まるはずがない。



そんなことを思った矢先―――――がらり、開いた教室の扉。