空回りな僕等【完】




隼人に笑いかけて、一緒に路上を歩く彼女のことを、一緒に帰る隼人のことを、



――――私は、見たことがある。




「…あの二人、両想いだよ」

「ちょっと友梨、それはネガティブ過ぎる、」

「ネガティブじゃない」




焦る結菜の声を遮った。
あれは、事実。私の理論も事実。

間違いは何一つない。


だって、だって。




「私と付き合う前、隼人ってあの子が好きだったんだよ」

「え?」

「あの二人が一緒に帰るところ、前にも見た」

「…友梨、」

「結菜、帰ろ」

「友梨、」

「…帰ろ」

「…、…うん」