思い出したようだった。その表情に、「…、」苦々しさが滲んだ。 上げた視線の中で、結菜は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。 「鈴村君か」 結菜が呟く。 その名前は、私にとってはタブーだ。 鈴村、隼人。 思い出すのも億劫だ。そんな名前、あんな顔。 思い出すだけで、傷口をえぐられる気分だった。