リビングに甘い香りが広がる。

僕らが選んだレシピは、チョコチップクッキー。

チョコということでだいじょうぶかな。

「いやぁ。悪いなぁ。ココもソウも、オレなんかのために作ってくれて」

「ちげーよ。兄貴なんかに渡すわけないじゃん」

ソウくんは、お付き合いしてる彼女さんにプレゼントするみたい。

彼女さんも、春から上京するんだ。

バレンタインデー。

ソウくんも、なんか勘違いしてない?

「ココ。いっぱい作ろうぜ」

「うん!」

ソウくんは、作り方を教えると、すぐに覚えてくれる。

いつも僕がお料理してると甘えてくる、ルウとはちょっと違うな。

「ココ。可愛いなぁ」

なんか、ルウに見守られると、ドキドキしちゃう。

「やっぱ、エプロンの着方は・・・ふふふ」

「兄貴。変な妄想するなよな」

クッキー。

それぞれの気持ちが込められてく。