リンちゃんは高校に入って、クラスの子たちに、自分の意思を上手に伝えられなかったり。

悩んでしまっていた毎日だったようで。

僕が、リンちゃんの希望になったなら。

嬉しいことだ。

僕も。

ほんの少し前のあの頃。

僕も、きっと同じことが不安だったから。

夢の中で、リンちゃんは、笑顔で誰かとお話していた。

もしかしたら、誰かに恋の気持ちも、伝えたいのかな。

・・・ザーッ・・・ザーッ

ん?

キッチンから聞こえるのは、ミキサーの音かな。

「ルウ、おはよ」

「あ、ココ!どうだ?具合は」

「ありがとう。まだ熱っぽいけど、頭痛いのは治ったよ」

「そうだよなぁ。だいぶん汗かいてたもんな」

「・・・え?」

「やー、ずっと居てほしいって、一緒に寝てあげたじゃん」

「やっ!」

「もー、今に始まったことじゃないだろ」

そう・・・だけど。

「あ・・・ルウ、ミキサー?」

「おっとー。これはまだ企業秘密なんだわ。ココ、ほら。シャワーしよう、シャワー」

「え?」

「汗、気持ち悪いだろ。おにーさんが一緒に入ってあげよう」

「え?や、誰だよ、おにーさんて。お前・・・え?」

ミキサーから甘い香りがしたのは、気のせいかな。