「僕・・・ルウにちゃんと話さなきゃ・・・」

だから・・・離れて。

・・・離れてほしいのに、ルウは、僕を抱きしめたままだった。

「うん。もういいよ。あの子から全部聞いたから」

「えっ・・・」

「オレ、ちゃんと駅まで送り届けたんだよ」

そう・・・だったんだ。

「ごめんね・・・ルウ」

たぶん、僕は分かってる。

どうしてルウが怒ってたのか。

たぶん・・・きっと・・・。

「オレ。ココが取られちゃうような気がして。らしくないけど、嫉妬してた」

僕は、きみの傍を離れたりはしないのに。

「だって、ココも、男の子だから・・・」

えっ・・・。

男の子・・・。

こんな時だけどうして、僕のことをそんなふうに心配してくれるんだろう。

「ルウ・・・」

僕は、こんなにも、きみに大切に守ってもらってる。

だから、もう。

ルウと一緒に居ると、男の子だってこと、忘れたとしても。

胸があたたかいんだ。

「ルウ・・・ありがとう」

「うん・・・」

「・・・ねぇ、こっち向いて。ちゃんと瞳を見て伝えたいから」

「ダメ。今、ほんとにダメ!」

あ・・・なんか。

なんか、可愛いな。

それにしても、僕、どうしてこんなに熱いんだろう。

ぽかぽかして、ふっとこのまま寝てしまいそう・・・。

「ん・・・ルウ・・・」

「あっ、ごめん、ココ!お前、熱あんだよ」

やっぱり・・・。

傘、どうしてもリンちゃんを入れるとなると、僕ははみ出てたもんな・・・。

「とりあえず、そんなに高くなかったから、市販の薬、飲ませたんだ」

「え・・・?」

「ん?どうした?」

「今・・・飲ませたって・・・」

「うん。ご想像の通りで」

口移し・・・?

「ぎゃー」

「うるさいなぁ。恥ずかしがんなって。可愛いなぁ、ココは」

優しく髪に触れられると、僕の心に、いつもよりも大きな気持ちが生まれる。

こんな時・・・だからなのかな。

「ルウ・・・」

「大丈夫。どこにも行かないよ。今、いろいろ体に良さそうなもの、買いに行ってきたからな」

僕は、もう・・・。

熱なのか、気持ちなのか、分からない。

いつの間にか、ルウのコートの袖を引っ張ってた。

でも・・・。

きっと明日からは・・・。

「あ。仕事なら、今週はちょうど予約頂いてるの少ないから、割と付きっきりで看病できるからな」

そう言って、もう一度、僕を抱きしめてくれた。