その後のことは、あまり覚えていない。

リンちゃん、風邪ひいてないかな。

結局、濡れたままの服を着て帰ったみたいだから。

「お前・・・。ちょっとは自分の立場をわきまえろよ!」

僕の話も聞かないで。

きっと、きちんと説明できたかは分からないけど。

それでも、僕は、ただ・・・。

自分にできることを探しただけだったのに。

「ルウのわからずや」

ぽつんと、誰も居なくなったリビングにこぼした。

言葉は、今は届かないだろう。

雨の中へ溶け込んだルウを。

僕には追いかけることができなかった。