「…宇都宮社長に瓜二つだな…」



小笠原さんが呟く。


夢に出てくる三郎さんの顔はいつも、おぼろげでハッキリとは見えない。



でも、額縁の写真を見て、おぼろげだった顔が鮮明に見えてくる。




「…三郎さん…」



「…貴方の知っている限りでいいので、三郎さんはコト詳しく教えて頂けますか?」




私は問いかける前に堰を切ったように尭耶さんが口を開いた。




「…三郎さんは私のおばぁちゃんの話では…野犬にかみ殺されたと…男前だったのに無残な死に方だったと」



「野犬?犬に殺されんですか?」



「はい、でも三郎さんは訊いた話では岩田家の人間じゃなくて、養子だったと言っていました」