その瞬間、昔の太一兄ちゃんに戻ってたんだよね。 無邪気な笑顔を見せてくれた。 「お前、もしかして・・・・・・あのガキか??」 あのガキ。 そうあのガキです。 「俺のうしろくっついてた甘えん坊の弱虫?」 な~んて言ってくれて。 「そうです!!覚えてますか?」 「太一兄ちゃんなんて呼ぶのは、あの子だけだったから」 優しい表情になった。 遠い目をした速水先輩は、太一兄ちゃんに戻っていて、 その視線の先には、幼き私がいるように思えたんだ。