〔完〕 うち、なでしこになるんだから


――剛溜に似てるな。やるしかないか。――

 こうなった時、いつ止めに行けばいいのか迷う。
 だが、迷ってる暇はない!何か行動を起こそう。 

 珠理は意を決して、前へ、また前へ、一歩一歩相手に詰め寄る。

 相手のスピードは止まらない。止まらない、止まらない。

 珠理は手が使えるペナルティーエリアの外から出ないようにする。


 
――もしかして、シュートか。――

 相手が左足を振り上げた。

 左右どっちに重心がいっているか。
 振り上げている足の向いている方向は・・・


――こっち!――

 左へ倒れこむ。
 相手は倒れている方向へ蹴る。珠理の読みは正しい。
 それに、シュートの勢いはあまりなさそう。取れるかもしれない。

 ボールがどんどん迫ってくる。
 迫ってくるボールを見ていたら、いつの間にか意識を失ってしまった。


 気が付いてたら、珠理はボールを取っていた。

「ジュジュ、ありがとう。」

 あかりが起こしてくれた。

 これが、前半で一番危なかった場面であった。

 この後の三十分+ロスタイムの二分は、得点が動かなかった。

 興奮させるようなシーンも、あまりなかった。