〔完〕 うち、なでしこになるんだから

「もしかしたら、この後かなり攻めてくるかもしれないから、落ち着いて対応して。」

「分かった。」

「余計なファールを貰わないで。」

「分かった。」

 梗子、あかり、毬百、絆といったディフェンスラインを形成する四人に対して指示を出す珠理。
 その顔には、一点のリードがあるのにもかかわらず、危機感が漂う。

 珠理は確信してない、フォワードで登録してる選手が入ってきた。

 交代された選手はやや守備的な選手だった。
 その選手のポジションを引き継ぐか、あるいは布陣を変えるかもしれない。もし、布陣を変えられたら、城崎ドルフィンガールズは一時混乱に陥るのだろう。その隙に、一点取られるかもしれない。

 攻撃的な選手だと珠理は思うから、余計警戒する。
 点が入らないようにしなきゃいけない。


 珠理はそのことを頭に入れながら、ボールを貰う。

 城崎ドルフィンガールズのゴールキックで試合が再開されるから。