〔完〕 うち、なでしこになるんだから

 時間はどんどん過ぎていく。

 点数は、すみれが一点取って以来動いてない。

 互いに疲れが出てくる。

 でも、珠理たちはやる気で疲れを忘れようとする。

 相手は中々点が入らなくてイライラしている。

 焦っているのか、パスが変なところに出たり、力が足りなかったり力んでたり、単純なミスが増えている。

「落ち着いてやって行こう。」

 相手のイライラが限界を超えると、強引なプレーが出てくると珠理は思う。
 無理やり城崎ドルフィンガールズの選手を押し倒したり・・・
 サッカーのルールはどちらかというと、攻撃有利に作られている。だから、こっちが手を伸ばしたりしたら・・・。

 ここで、不用意なファールを貰わないようにするのが、珠理の言葉の真の意味だ。


 チャンスがあったらすかさずボールを奪って、爽やすみれを走らせてゴールに迫る。

 惜しいシーンもあったが、後半五分以降、点が取れていない。

 珠理たちは今一点リードしているが、もう一点、二点取って、相手を諦めさせたいところだ。

 いや、今すぐ諦めてほしいところだ。