〔完〕 うち、なでしこになるんだから

 監督の一言で城崎ドルフィンガールズは、それぞれの位置につく。

 相手はもう位置についている。
 早く再開して二点決めて勝ちたいのか、城崎ドルフィンガールズの様子にイライラしている。
 センターサークル内に入っている相手の七番の選手が、足でボールを前後に動かしてる。
 腰に両手を当て、睨んでいるように見える。


 珠理はもう怖くない。

 自分たちの方が勝つ気あるから。
 いや、自分たちが勝つから。

 それに仲間がいる。
 一人ではできないことも、色んな人が集まれば、大きなことができる。

 城崎ドルフィンガールズは皆仲良しで、いじめなんてない。

 一応先輩後輩の区別はついているが、厳しくはない。

 このチームは、バンバンFCで嫌いになりかけていたサッカーを好きにしてくれた。

 このチームのために、頑張りたいと思うようになった。

『なでしこになる!』

 っと言う夢を叶えたいという思いが、より一層強くなった。

 そのようにしてくれたチームメートから、珠理は今大きな力を感じる。

 この試合を動かす何かを。