〔完〕 うち、なでしこになるんだから

 しかし、これで終わっていない。

 ゴールの上のバーに当たって、そのままコートへ跳ね返った。
 ちょうどボールが跳ね返っているコース上に、すみれがいる。

 しかし、すみれの身長より五十センチほどの高さでボールが飛んでいる。


――ヘディングだ!――

 一・二・三でジャンプ。

 おでこにボールが当たった。そのまま頭で押し込むように、ヘディングシュート。

 ゴールラインを割る。

 ボールが当たって、ネットがふわりと舞う。

 すみれはボールのあとにネットにぶつかった。

 ぴぃー~♪


「入った!」

 珠理が気付いたよりあとに、すみれは我に返った。

 気が付いたら、自分はネットにしがみついている。

 ボールはすぐ近くにある。

「やった。」

 すみれは未撫に抱きつく。

「ありがとう。」

 爽、来未、満・・・最後に珠理。

 みんなすみれに抱きつく。

「いっつーありがとう。」

 珠理はうれしくてたまらない。珠理がゴール決めたわけではないが。