〔完〕 うち、なでしこになるんだから

 珠理はこの場にいる十人の仲間全員と、ハイタッチしようとする。

 両隣、向かい、目が合った人。

 自分に仲間がいること、自分を信じてくれる人がいること。
 グローブがあっても邪魔することなく、感じれる。

「キョーコしたっけ?」
「多分。」

 梗子の力強いハイタッチ。

「絶対勝つから。」
「ああ。」

 梗子はにっこり笑い、位置につくために走る。

 珠理はあとを追いかける。


 前半城崎ドルフィンガールズがゴールを奪おうとしたゴールに、後半珠理たちが守る。
 コートチェンジするのはルールで決まってる。

 珠理は力強く、構える。


「切り替え、切り替え!」

 絆がグッドサイン。

 珠理も同じことをする。

 珠理は集中力を高める。


――切り替え、切り替え!――

 視線の先には、左から絆、梗子、あかり、南良能といて、その先に相手が何人かいる。

 センターサークル内には、ボールと、白いユニフォームを纏った二人の選手がいる。