〔完〕 うち、なでしこになるんだから

「本当は、この試合勝てると思っていませんでした。

 こんなことをゴールキーパーが思っていたら、皆に少なからず影響を与えると思っています。
 こんなこと思って、すみません。

 でも、やっぱり、この試合勝ちたいです。勝って、全国に行きたいです。
 そのために自分のできることをします。
 百パーセント、いやそれ以上のことします。

 だから、皆にお願いです。勝ちたいと思ってください。」

 涙が一筋流れる。

 理由は、珠理にはわからない。


「監督、コーチ、どうかこの試合勝たせてください。」

 さらに一筋流れる。

「ジュジュ。」

 満や梗子、ダブルあかり、毬百、ゆう乃、すみれ、佳恵、爽、望海、結芽。
 珠理以外の二年生が抱きしめようとする。

「ちょっと危ない!」

 十一人が抱きしめようとしたら、そりゃあ危険だよ。

 絆たち三年生は、危険だと思って、抱きしめるのはやめた。
 やめたけど、彼女たちなりに決意した。

『自分たちのために頑張っている一・二年生のために、自分たちは頑張るんだ。』