痛みを消そうと、こうなってしまった言い訳を探す。

 最近、ゆう乃は上手くなってきたから。
 最近、自分の調子がおかしかったから。

 あくまでも、ゆう乃に試合の経験を積ませるため。
 今日の相手は簡単に倒せると監督は思ったから、主力を休ませるため。もっと上に進めば自分を使ってくれる。


「珠理にもチャンスはある。今日は休んでまた次回、力を発揮してくれ。」
「はい。」

 監督は、珠理を思って言っているが、張本人はそう思っていない。

 
――思った通りだよ。  
   でも、使ってほしかった。いや、今日はゆーのがふさわしいよ。
   って、このままだと、ゆーのにポジション取られるかもしれないよ。それだけは。――

 気付いたら、珠理はベンチに座っていた。ゆう乃のプレーを見ていた。
 試合に出たかったか、出たくなかったか、珠理はよく分からない。

 空の白さはどんどん増してきた。もう、晴れ間が見えなくなった。

 半分うつむきながら、試合を見ていた。


 ぴぃー~♪

 試合終了。結果、城崎ドルフィンガールズの勝ち。
 珠理はゆっくり立ち上がり、表面上仲間を祝福した。