ただ、それもほんの一瞬で、彼女は窓の外に目を移した。 「……そろそろ帰るね」 屋上での決まり文句。 彼女はそう言っていつも僕に背中を向ける。 今日も同じだ。 部屋のドアを開けた彼女に考えるより先に口が動いた。 「あの、さ……」 「何?」 何?と言いながらも動きを止めない彼女からは、早くここから出たいという気持ちが伝わってくるようだった。 後を追いかける。 玄関で靴を履いた彼女はお邪魔しました、と言って足早に帰っていった。