慌ただしく入ってきたカリハは懐から文を出した。

「こんなときにすまぬが、アゲハからだ。いつかの礼だそうだ」

 姫夜がそっと開くと、文には歌だけがしたためられていた。
『恋するに死するものにあらませば 我が身は千たび死にかへらまし』
 姫夜はその歌の激しさに打たれて、しばし黙っていた。