姫夜は川で禊ぎし、一糸まとわぬ裸身のまま、高楼にこもった。ひたすら暗闇のなかで瞑目し、おのれの心を清らかな鏡の状態にたもち、神が降りてくるのを待った。
 ワザヲギの民は一族だけに伝わるやりかたで神とまぐわうことによって、神示を得る。
 闇のなかで、神のやさしい手が愛撫を始めるのを待ち続けた。
 しっとりと、なにかが唇をなぞった。