禍津姫戦記

 ハバキは黙ってけわしい表情のまま縄をほどいた。
 だが、涙はすぐにはおさまらず、姫夜はまだ肩を震わせてしゃくりあげていた。
 ハバキは片膝を立てて、あぐらをかいた姿勢のまま、むっつりと考えこんだ。
 満月まであと十五日。いや、正確には十四日だ。
 それだけでいったい何ができるだろう。