禍津姫戦記

 みるみる姫夜の目に涙があふれだした。
 ハバキは驚いたように姫夜を見た。

「お願い。ハバキ……兄が、兄さまが死んでしまう」

 ぽろぽろと頬の上を涙の粒がころがり落ちるのを見て、ハバキは顔をしかめた。