禍津姫戦記

ふいに、姫夜が夜道に白馬を走らせている光景が目に浮かんだ。
 ハバキはうまやへ回っていった。思った通り、イザヨイがいない。いつもはとんでくるヤギラも歌垣の宵だけあって、出かけているようだった。

「ハヤテ、おまえは姫夜とイザヨイがどこへ行ったか、知っているか?」

 鼻面を撫でてやりながら、おのれの馬にたずねた。