姫夜に妻問いの宝をおくるようなものがいるとすれば、自分だけだ。 あれからにわかに激しい驟雨が降ってきて、火は消え、村人たちは高揚のうちに帰途についた。相手を見つけた若者たちは手を取り合って、笑いながら木陰を求めて走り去った。 きっと姫夜も濡れそぼっているだろう。