那智とクラトはむろんこの席から動くつもりはなかったが、八つ手は姫夜の舞いを見届けたら早々にも、今宵の相手をさがしにゆくつもりでいるらしく、ふところの中で商人から買い求めた櫛をひねくりまわしていた。 ハバキたちの前には、二間四方に四本の柱をたてた舞殿がしつらえられていた。