禍津姫戦記

「極限まで器が満たされたら、何が起こる」

「怖れているのか、王の気を持つものよ」

 姫夜はつと手をのばしてハバキの頬に触れた。ハバキはこたえなかった——こたえられなかった、と云ったほうが正しいかもしれぬ。
 姫夜はハバキの耳元にくちびるをすりつけるようにして、ささやいた。

「まことは何が起こるか、ではなく、どうすれば砕け散らぬかを知りたいのだろう……