禍津姫戦記

「わたしも、カツラギへくるまで、こんなに舞いが好きだとは思わなかった」

 姫夜はかすかにうわずった声で云って、ハバキのそばに座った。

「舞うのは楽しい。誰のために舞っても、神のためであっても、そなたのためであっても」

 ハバキは自分の杯に、最後の一滴を壷から注ぎきって、それを姫夜に差し出した。

「――これで酒も終わりだ」