禍津姫戦記

 扇を手にし、歌いながら舞ううちに、頬にほんのりと血の気がさし、晴れ晴れと顔が輝きだした。
 ハバキは脇息に寄りかかって、姫夜のなかにわだかまっていたものがほどけていくのを、驚きの目で眺めていた。

「不思議だな。ずっと昔からお前とこうしていたような気もするし、そんなふうに芯から楽しそうなお前を見るのは初めてのような気がする」