禍津姫戦記

 声がふいに近くなったので、姫夜は慌てて湯に身を沈めた。
 ちらっと横目で見ると、岩によりかかっているハバキの、たくましい背中と筋肉の束のような腕が見えた。
 いつのまにか濡れた衣を脱ぎ捨てている。
 ハバキは湯に背をむけて、星の瞬き始めた暗い空をみあげていた。日が沈んで、うなじを撫でていく風が心地よかった。