禍津姫戦記

 姫夜は館の喧噪からはなれて、ひとり神殿の高楼にのぼっていった。
 きよらかな風が、高楼には吹きすぎてゆく。
 姫夜ははるか遠くをみはるかすように、青くかすんでいる山々をみつめた。

(歌か……。父王も妃である母上によく歌をおくられていた)