禍津姫戦記

「そなたがゆきたいと望むならば、もう、すぐそこに」

「…………」

 姫夜はもう、口を開いてこたえることができなかった。
 白香姫の笑みをふくんだ声があやすように続けた。

「おお、よしよし……もうなにも怖がることはない。母は二度とそなたを一人にはしませぬぞ……ともにゆこう。わたくしの可愛い子……」