禍津姫戦記

「姫夜、兄のことは忘れよ。あれはもう、この世のものではない」

 白香姫の声がひび割れ、ぞっとする響きをおびた。

「母上、どうしてそんなことをおっしゃるのです」

 姫夜はぎょっとして叫んだ。

「わたしにはわかります。兄上は生きている。わたしは兄上に誓ったのです――」