禍津姫戦記

 強靱な志を持つものには、降りた神の言葉をよみとき、正邪を判断する審神者(さにわ)は必要ないのかもしれぬ。
 ハバキは莞爾として笑った。

「それでいい。むしろそのほうが有難い。――姫夜、俺とともに来い。ここから馬で一刻ほどのところに俺の館がある。戦さ続きでろくなもてなしはできぬが、酒なりと用意させよう」