「ここには民の思いが込められている。耐えると思うが、念のため結界を張る」

 高楼を風がわたってゆく。
 空をすさまじい早さで黒雲が流れてゆくのが見えた。
 そこに一瞬、赤い光がひらめいた。

「来る」