ハバキはばねのように跳び起きた。

「それを早く云え」

 それにトウノミネを加えれば、カツラギの五つの里の長がそろうことになる。立ち上がって脱ぎ捨てた衣でからだを払った。

「那智、今夜は戻れぬかもしれぬ。すまぬが頼まれてくれ。カリハとともに、姫夜の様子を見舞ってやってくれぬか」

 そういうハバキの顔からは迷いは消えていた。