何度もつまづきそうになりながら、急いで階段をのぼっていった。 お世辞にも運動神経がいいとは言えない私だから、すぐに息がきれてしまう。 「もぉ疲れたよぉ」 そう嘆いて手すりをつかんだときだった。 「頑張れよ。もう少しだろ」 上から天の声が聞こえた。 即座に顔をあげると、見たかった笑顔が階段の一番上からこっちを見下ろしていた。 「はやくしないと雨降り始めるよ?」 「それはやだ!」 私は慌てて階段を駆け上がった。