少しして唇を離した伊月は、さっと立ち上がった。 「じゃ、届けようか」 「うん」 銀色のトランペットをもって、私も立ち上がる。 「この音を――あの空の音を―――」 伊月が楽器を構えた。 様になりすぎてる。 私もゆっくり、久しぶりのトランペットに唇をつけた。 あの空の音を―――― 君に。 end.