「きいている人が笑顔になれるような、そんな音楽作りたい」 強い意志を秘めた、伊月のストレートな言葉だった。 汚れのない、決してがむしゃらではない、伊月の夢。 「俺が、涼にしてもらったみたいに」 そう言ったのと同時に、頭に伊月の手がのっかる。 「ありがとな」 くしゃっと頭をなでられる。 いつもは笑いながらやめてよ、と止めるんだけど、今日はできなかった。 自分の目から、涙が溢れ出していたから。