ぐっと手に力を入れ、扉を押す。 ギッと音を鳴らして扉がゆっくりと開いた。 屋外のまぶしい光が目に入り込んでくる。 思わず、目をつぶった。 ゆっくりつぶった目を開けると、待ち望んでいた人がいた。 いつもの定位置。 もう見慣れたカッターシャツの後姿がいた。 「伊月」 私がつぶやくようにそういい、彼のところへ歩き出す。 声が届き、伊月が振り向く。 そこには、いつもの柔らかく笑った伊月。 さらに、 さっき流星の流星と同じように、伊月の手に握られたサックスが輝いていた。