今の瞬間、やっと、本当の自分に戻った。 吹奏楽から逃げていた自分。 その殻から抜け出した。 「今から伊月のとこ行ってくる」 「うん」 「じゃぁ」と手をあげて、階段から流星が姿を消した。 少し流星の匂いが残る階段は、まだ、上に続いている。 私は再び、足を動かし始めた。 まだ、もっと。 笑顔で。 本当の笑顔で―― 笑おう。