ぎゅっと私の体をしめつける伊月。 「苦しいよ、伊月」 私がそうつぶやいても伊月は少しも動かない。 「伊月――?」 「俺、涼のトランペットききたい」 突然耳元からきこえた声。 「え?」 「涼のトランペット、きかせて?」 伊月の言葉が、鉛みたいだった。 心にずしんと響く。 「でも私――」 「知ってる。川浦さんからきいた」