いつの間にか、体が勝手に動いていた。 深いことは何も考えてない。 行かなきゃ。今すぐ。 急がなきゃ。 「行ったのは××病院だから!」 後ろからさっきの女の子の声が聞こえる。 病院名だけ覚えると、私は振り返りもせずに走りつづける。 そこまで遠くない。 大変だけど、走りつづければ伊月のもとに行ける。 早く行かなくちゃ。 そうしないと―――― 伊月に声が届かなくなる。