「ごめん」 「涼に謝られると、俺まで謝らなきゃいけないじゃん」 伊月が傘を自分の真上に動かし、私を置いて歩き始めた。 「待って」と私も慌てて追いかける。 「ごめん、涼。ちょっとひとりにさせて」 振り返らずに、伊月はそう言った。 今、はっきりと拒絶されたんだ。 「しばらく、俺ら距離おこう」 いつもみたいに私の歩くスピードに合わせている速さじゃなくて、男の子らしい速さで歩いていく。