「じゃ、俺、もう行くわ」



そういって、最初と同じようにウソの笑顔を見せて歩きだす彼。


ダメ。

ダメだよ。


彼までも、私の前から姿を消していく。

嫌だ――!




「待って――っ」





時間が止まった。


彼の足も動きを止める。

そして、振り返った。