『涼』 伊月の声が耳に届いた。 心地の良い、やっぱり柔らかい声だった。 『涼と、直接話がしたい』 「私も」 新聞を畳むのも、テレビを消すのも忘れ、私はケータイを手に家を飛び出した。 伊月と、話すために――。