姫華side


登校すると、いつもは誰もいない、何もない運動場。


それがなんだ。


運動場の中心を囲むように椅子が並べられ、テントが何個か設置までされている。


そして、何より…でかでかと書かれた“体育祭”の文字。


「聞いてないよっ。今日が…体育祭なんてーーー!」


「俺たちも昨日聞いたんだよ」


「翼!!」


って昨日!?


たっちゃん…何してんのよ…。


ん?と言うか、普通は新学期に年間表とかもらわないの?


まぁ•••考えなくても、聞かなくてもわかるか。


ここ、不良校だもんね。


あったとしても紙飛行機かゴミ箱行きだもん。


「姫華は全部、俺と同じだから」


翼とか…それならまだ安心か。


いや、安心してもいいのか•••?


「そうだ。優歌に紹介してい子がいるんだ。…いた!香菜一!」


私の叫び声に気づいた香菜が近づいてくる。


「姫華!…その子が?」


「うん。噂の優歌だよ」


優歌は突然現れた香菜にビックリして、固まってしまっている。