当時、姉とお付き合いしていた方の話によると、姉はある日、ぽろりとこんなことを言っていたそうです。




「夜、寝室で一人で寝ていたら、耳元で『ここを出ていくな』と囁く声が聞こえた」と。




またか、と思われるかもしれませんが、そのお付き合いしていた相手の方もそれなりの霊感の持ち主で、姉の部屋に泊まるときには何度も金縛りに遭ったとも言っていました。


姉には「家族に心配をかけたくないから言わないでくれ」と口止めされていたそうですが、姉の死後にそんな話を聞いてしまっては、やはり気味が悪いと思ってしまうもので。



そこで我々家族は、両親の田舎に伝わる「イタコ」のような力を持つ方に依頼をして、姉との接触を試みました。


その方は、テレビなどでも時々見かける「ユタ」と呼ばれる霊能力者と似た力を持つ方で、姉が鬱になったはじめの頃にも占いのような儀式を依頼していたのですが、私の中では、この方の力はかなり信憑性が高いと認識しています。



余談ではありますが、その時の依頼では私も少し視ていただきました。

しかし、そこでその方は、私が誰にも言っていないし、まず家族にはバレようのない秘密を、ピタリと言い当てたのです。

当時私が付き合っていた男性が、別の女性に子供を産ませていたことを。

その事を言い当てられた瞬間は、寒気に鳥肌がたつ思いと、「この人に隠し事は通用しない」という思いで頭を占領されたものです。





さて、姉の死後、その日は確かまだ四十九日が過ぎてすぐの頃だったと記憶していますが、母の親戚にあたるその霊能者の方をお呼びして、まずは姉の住んでいたマンションへと連れていきました。


うろ覚えで申し訳ないのですが、確か「姉を連れて帰る」と言う目的のためだったと思います。