何故? わからないのか。 まぁ、そうだろうね。 遠い昔に私と彼は『同じ』一つの者だったけれど、現在私は女で、彼は男だ。 だから、理由は女の私にしかわからない。 彼も気付いているはずなのに、認められずに苦しんでいるんだろう。 「何故って? それはね……」 私は彼の頬に、血で濡れた手の平をそっと添えた。 「私は貴方を」 私にしかわからない。 この想い。 たとえ死ぬのであっても、たとえ運命が彼を殺せと言っていても。 私は、この想いに従う。 「真に愛しているから」 私は、この想いに従う。