「ひーなーた♪
日曜のデートはどうだった?」
休み時間に、興味津々でたずねてきたのは、恵。
その後に、むすっとした涼介がいた。
「んー、長島くん急病で、中止になった」
「えー、なんだぁ。残念だったね」
「うん……」
そう言いながら、チラリと見たのは実里の方。
彼女は自分の取り巻きと話をしていて、こちらの方は見ない。
考えすぎだと良いんだけどな……
長島くんと実里が、共謀してあたしをハメようとしたなんて。
ただの妄想だといい。
じゃないと、怖すぎる……。
「ひなた、この怪我なに?」
上の空だったあたしの手を、突然涼介の手が指差した。
それは、包丁で切った切り傷。
絆創膏をはった人差し指に、薄く血がにじんでいた。
「あー……ちょっと料理をね、してみようとして……
包丁で切っちゃったんだよねー」
「えっ!!」
「なんでそんなに驚く……」
「だってお前、中学の時から家庭科はからっきしの三級品じゃん。
巾着縫って、『できたーっ』って掲げたら、
いつの間にか一緒に縫っちゃったスカートがつられてビヨーンって!
水玉模様のパンツが丸見えに……」
どぐぅっっ!!
涼介はあたしのパンチをみぞおちに食らい、その場に崩れ落ちた。



