『……か……で……』



か細い声が、脳に直接響く。



『気をつけて……』



幽霊は、そう言った。


確かに、そう聞こえた。


思わず、振り返る。


しかし、そこには誰もいない。


もう一度鏡を見る。



「…………」



鏡の中。


そこでも、幽霊は、もう消えていた。



「ちょっとお……」



やめてよ……。


恐怖で、身体が震える。


霊が見えてしまうことはあったけれど、

声が聞こえたのなんか、これが初めてだった。



しかも、『気をつけろ』って?


一体、何に?


もしかして、あの女の人はあたしの守護霊かなにか?


でも、それなら日曜に言ってよ!


あれは本当に怖かったんだから!